古代小麦を、和菓子へ。
小麦の収穫も、残すところわずか。今年は「このわ」で使う一年分の小麦を、無事に収穫することができました。
これまでは、国産の小麦粉を仕入れながら併用してきましたが、これからは**無農薬・除草剤不使用、そして飲食店と協力してつくった「ぼかし肥料」で育てた古代小麦100%**で和菓子をつくることに舵を切ります。
そして何より、大切なお知らせがあります。今後も、現在の販売価格は据え置きのままとさせていただきます。
この挑戦は、多くの方のご協力とご支援、そして私自身の試行錯誤の積み重ねによって、ようやくたどり着いた結果です。
けれど今、世の中は物価高騰と実質賃金の減少という現実に直面し、その努力さえも、簡単に押し流されそうな空気に満ちています。
「この価格ではやっていけない」
「もっと値上げしないと」
「もっと高く買ってもらわないと」
そんな声も耳にします。
でも本当にそうなのでしょうか。
何が正解かは、今はわかりません。
けれど、“今できること”は、“今しかできないこと”でもあります。だからこそ、ひとりひとりが努力し、知恵を出し合いながら、この物価高に立ち向かっていく必要があるのではないか――そう感じています。
今、小麦は乾燥を終え、製粉作業を待つばかり。やがて「一文字(銅板)」で焼くどら焼きや、オーブン菓子、蒸し菓子などに姿を変え、お客様のもとへと旅立っていきます。
⸻お金よりも、もっと大切なことがあります。それは――その先に見える、お客様の笑顔。
時代は「恩送り」の社会へ。誰かの努力が、誰かを支え、笑顔に変わる。そしてその笑顔が、また次の誰かへのバトンとなってつながっていきますように。この笑顔の連鎖こそが、未来の社会を静かに、しかし確かに切り拓く原動力になると、私は信じています。