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― 紙の正体 ―
国はお金を刷る。
市場は株を膨らませる。
数字は増える。
けれど、それで何が生まれた?
人の心は満たされたか。
田んぼの土は豊かになったか。
誰かの食卓は温もりを取り戻したか。
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「紙」は、かつて感謝の証だった。
米や塩の代わりに渡された“信”のかたち。
だがいつの間にか、それが信頼を奪う側に回った。
紙を多く持つ者が“正しい”とされ、
汗を流す者が“負け組”と呼ばれるようになった。
お金は血のように流れなければ腐るのに、
誰もがそれを“貯めこむ”ことを幸せだと信じてしまった。
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金(ゴールド)も株も、
人の「不安」と「欲望」の上にある。
価値を保証しているのは、
“現実”ではなく、“信じ込み”だ。
だが信じ込みが壊れた瞬間、
金融経済は、ただの数字の墓場になる。
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私は、紙よりも確かなものを選んだ。
それは、
太陽の熱。
大地の香り。
手の跡が残る仕事。
それらは値上がりも値下がりもしない。
ただ、命の側で回り続ける。
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このわの電気が太陽で動き、
米が実り、
人が笑う。
それが“経済”の原点であり、
国家や市場がいくら揺れても、
ここには静かな“実在”がある。
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紙は風に舞う。
だが、土に根づいたものは倒れない。